1/1 戦艦大和の想い出

 2005年の夏、映画「男たちの大和」(2005年12月公開)の撮影に使用された戦艦大和のオープンセットが一般に公開されました。実物大の大和を身近に体感できる最初で最後の機会と捉え、広島県の尾道まで出向きました。

映画ロケセット一般公開を告げるチラシ

 JR尾道駅に到着すると、海岸の目の前に造船所の巨大なクレーンとそれに負けないくらい大きな戦艦大和の艦影の一部が見え、高揚する心を抑えながら、渡船に乗って目的地の造船所跡に向かいます。
 造船所跡に着くと船からバスに乗り換え、大和のセットのすぐそばまで案内されました。

 この日はあいにくの雨でしたが、私みたいな艦船マニア以外にも大勢の方が大和のセットの見学に訪れており、映画への関心の高さを感じました。

艦首菊の紋章のロケセット

 セットに着いて先ず目に入ってきたのは、艦首に取り付けられた金色の「菊の紋章」です。日露戦争時の戦艦三笠など、日本の軍艦にはこの紋章が取り付けられています。
 実際に大和に取り付けられたものは直径1メートル(戦艦の菊の紋章は直径1.2メートルと定められていたのでやや小さい。)ですが、セットのものはそれより大きく感じました。

 セットは、艦首から大和全体の約7割(190メートル)を再現していますが、艦橋や煙突などの上部構造物は無く、主砲も2番砲塔には砲門が再現されているものの、1番砲塔の砲門は省略されていました。少々ものたりなさを感じましたが、実物大の3連装46センチ砲は圧倒的な存在感で、これだけで大和の巨大さを体感するには十分でした。

46センチ主砲2番砲塔のロケセット
15.5センチ副砲1番砲塔のロケセット

 主砲の右舷を進み、15.5センチ副砲を下から見上げながら艦の左舷中央部に行くと、ハリネズミの様に多数の高角砲や機関砲が空を睨んで設置されていました。撮影の跡なのか、よく見ると高角砲や機関砲のシールド部分が黒く焦げた様になっています。

左舷の高角砲及び機関砲のロケセット

 今は映画を見た後なので、この写真を見ると、25ミリ機関砲の射撃手達が、米軍機の機銃掃射を受けて、辺り一面血しぶきが上がるシーンが蘇ってきます。近年制作された「アルキメデスの大戦」でも戦艦大和の最後の激闘のシーンが描かれていますが、「男たちの大和」における米軍機との残酷なまでの戦闘シーンは、祖国のために散っていった英霊たちの想いや姿をリアルに伝えてくれています。

 映画で描かれた戦艦大和の海上特攻は、私が生まれるたった15年前に実際にあった出来事です。この投稿を改めて書くにあたり、今を生きる日本人として、先人たちの歩んだ歴史を正しく理解し、後世に伝えていく責任を痛感しました。

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