初めてのプラモ
プラモを最初に作ったのは、小学校の4年のときです。水戸市のおもちゃ屋さんで、叔母に「戦艦大和」のプラモを買ってもらいました。モーターがついた今で言うフルハルモデルです。
メーカーまでは正確には覚えていませんが、モデルアート刊の「1/10 日本海軍戦艦大和」の資料を見ると、クラウンの1/1000大和ではなかったかと思います。
かなり昔のことなので記憶は定かではありませんが、主砲は砲塔と砲門が別部品になっていたと思いますが、副砲、高角砲は一体型で、機関砲は船体などにモールドされていました。喫水線から下の部分は赤い部品でその他はグレーの部品だったのですが、当時は甲板の色を塗るなどの発想はなかったので、今思えば仕上がりは宇宙戦艦ヤマトのような配色でした。
戦艦大和の次に作ったプラモは、「ゼロ戦21型と52型」(1/72 LS製)だったと思います。この52型は、東京の叔父が仕事のついでに立ち寄ったときに買ってもらったもの。
最初に手にした軍用機プラモは、祖父が入院した時に同室の方からいただいた「グラマンF4Fワイルドキャット」でしたので、ゼロ戦の流麗なフォルムを見たときは、武骨なグラマンとのあまりの違いに驚き、まさに一目惚れでした。
ゼロ戦と戦艦大和(秋田書店刊)
当時、秋田書店から児童向けの「ゼロ戦と戦艦大和」という本が出版されており、ボロボロになるまで何度も読み返しました。戦艦大和と零戦の武装や性能に関する図解を中心に、主な海戦における戦歴、海軍機や連合艦隊艦艇の種別、さらには軍歌まで掲載されていたような記憶があります。
この本には、戦艦大和以外の戦艦の写真も掲載されていましたが、同じ名前の戦艦なのに艦橋や煙突の数などが異なる写真があり、疑問に思ったことを覚えています。のちに「丸スペシャル」などの写真集を見て、それぞれ竣工時、第1次、第2次改装時の写真だと分かりました。
メルカリで前述の「ゼロ戦と戦艦大和」を入手できました。昭和46年1月発行のものでしたが、当時読んだのが小4の秋ごろでしたから、ほぼ同じ時期に発売されていたものです。改めて読みなおすとほぼ記憶が正しかったことが確認できました。
この本を読んで、初めて戦艦大和やゼロ戦のプラモを作ってみたくなりました。後に艦船プラモにはまっていくきっかけになったのもこの本です。
零戦と戦艦大和(文春新書)
2008年に文春新書から発売になった「零戦と戦艦大和」という本があります。「文芸春秋」に掲載された著名な論客達の座談会を収録したものです。前記の秋田書店版とは内容も対象となる読者層も全く違うものです。
零戦と戦艦大和の開発に関する技術的な側面とその運用については第2部で語られていますが、むしろ第1部のほうが興味をそそられました。有名な「失敗の本質」的な視点に立って、帝国海軍の戦略・戦術等を米国海軍の指揮官達との比較で論じています。昭和の時代には、映画などで名将として描かれていた山本五十六が、それまでとは全く違う視点での評価がされており、興味深く読みました。
現代日本は、世界に誇れる技術を多く持ちながらも、グローバル化の波に翻弄され、自身の強みを発揮できないでいます。前述の「零戦と戦艦大和」は、そうした日本の課題を見つめ直す機会を与えてくれた一冊です。是非ご一読をお勧めします。
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